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Theory Atlas
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FIELD / ORGANIZATIONAL BEHAVIOR

組織行動論

研究分野「組織行動論」(Organizational Behavior)に分類される項目です(理論 54・概念 1・論文 1・研究法 11)。ひとつの理論が複数の分野に属することがあります。

理論・視点 54

虐待的管理(アビューシブ・スーパービジョン)Abusive Supervision上司が、敵意のこもった言葉や態度(身体的な接触を除く)を部下に向け続けていると、部下が知覚する程度を指す概念。部下の職務満足や組織への情緒的なコミットメントの低下、精神的な消耗、仕事と家庭の葛藤、離職と結びつくことが示されてきた。バウンダリーレス・キャリアBoundaryless Careerキャリアを一つの組織の中で昇進していくものとしてではなく、組織や職種の境界を越えて築かれていくものとして捉える視点。官僚制とその逆機能Bureaucracy and Its Dysfunctions職務の分担、権限の階層、一般的な規則によって仕事を組み立てる官僚制について、その技術的な効率と、規則の遵守がそれ自体目的になるといった負の側面(逆機能)を論じる議論。Adler & Borys (1996) は、規則が働く人を支えるか縛るかは形式化の種類によると論じた。バーンアウト(燃え尽き)Burnout仕事上の慢性的な対人ストレスへの反応として生じる心理的な症候群。心身のエネルギーを使い果たした情緒的な消耗感、仕事や相手から距離を置く冷淡な態度、自分は役に立っていないという効力感の低下、の三つの側面からなる。天職(コーリング)Calling (Job, Career, and Calling Orientations)人と仕事の関係には、生活の糧を得る手段とみる「仕事(ジョブ)」、昇進を重視する「キャリア」、仕事そのものに充実感と社会的な意義を見いだす「天職(コーリング)」という違いがあり、同じ職業の中にもこの三つが見られる、とする考え方。天職と感じている人ほど、生活や仕事への満足が高い傾向がある。創造性の構成要素モデルComponential Model of Creativity創造的な成果は、領域に関する技能、創造性に関する技能、課題への動機づけの三つがそろったときに生まれ、とくに内発的な動機づけが創造性を高め、外からの制約はそれを損ないうる、とする理論。資源保存理論(COR理論)Conservation of Resources Theory人は自分が価値を置く資源を保ち、守り、増やそうとしており、資源を失いそうになること、実際に失うこと、資源を投じたのに見返りが得られないことがストレスを生む、とする理論。資源の損失は獲得よりも強く感じられ、損失は次の損失を呼びやすい。リーダーシップのコンティンジェンシー・モデルContingency Model of Leadership Effectivenessメンバーが協力して一つの課業に取り組む集団の業績は、リーダーのスタイル(LPC得点で測る)と、状況がリーダーにどれだけの勢力と影響力を与えるか(状況の好意性)との組み合わせによって左右され、状況によって高い業績を上げるリーダーのスタイルが異なるとする理論。フォルトラインDemographic Faultlines集団の多様性の影響は、属性ごとのばらつきの大きさだけでは決まらない。複数の属性(年齢、性別、職種など)の違いが同じ境目でそろうと、集団を下位集団に分ける仮想的な分割線(フォルトライン)が生まれ、それが集団内の対立や分裂を生みやすくする、とする理論。ダイバーシティ・パースペクティブDiversity Perspectives職場の多様性が成果につながるかどうかは、多様性の量だけでは決まらず、その集団のメンバーが多様性をどう意味づけ、仕事にどう活かすべきものと考えているか(ダイバーシティ・パースペクティブ)によって左右される、とする理論。感情労働Emotional Labor接客などの仕事では、働き手は賃金と引き換えに自分の感情を管理し、組織が求める表情や態度を示している。この感情の管理は、本来は私的なものだった感情を商品にし、働き手を自分の感情から遠ざけることがある、という視点。公平理論Equity Theory人は、自分が仕事に注ぎ込んだもの(投入)と受け取ったもの(成果)の釣り合いを、比較相手の投入と成果に照らして判断し、釣り合っていないと感じると緊張が生じて、それを解消しようと行動する、とする理論。報酬が少なすぎるときだけでなく、多すぎるときにも不公平は生じるとした。コミットメントのエスカレーションEscalation of Commitment自分で選んだ行動方針が悪い結果を生んでいるとき、人はその選択を正当化しようとして、かえってその方針にさらに資源を投じてしまう、とする理論。離脱・発言・忠誠Exit, Voice, and Loyalty企業や組織、国家の質が落ちたとき、顧客やメンバーは「離脱」するか「発言」するかで反応し、その反応が組織に立て直しを促す。忠誠は離脱を思いとどまらせ、発言を引き出す、とする理論。期待理論Expectancy Theory人がある行動をとる力は、その行動が望ましい結果につながるという見込み(期待)と、その結果の魅力(誘意性)を掛け合わせ、起こりうる結果について足し合わせたもので決まる、とする理論。目標設定理論Goal-Setting Theory人が意識的に目指す目標が行動を直接に方向づけ、難しく具体的な目標は、易しい目標や「ベストを尽くせ」という曖昧な目標よりも高い成果につながる、とする理論。集団浅慮(グループシンク)Groupthinkまとまりの強い集団では、全員一致を保とうとする力が、代わりの選択肢を現実的に検討しようとする力を上回り、その結果、集団がずさんな決定を下してしまう、とする理論。ホーソン研究(人間関係論)Hawthorne Studies and the Human Relations Movement1924年から1932年にかけて米国ウェスタン・エレクトリック社のホーソン工場で行われた一連の調査と、そこから導かれた、作業量を左右するのは物理的・経済的な条件よりも職場の人間関係や監督のあり方だという結論。人間関係論の拠り所となったが、後の再検討では、証拠は結論を支えていないとされる。欲求階層説Hierarchy of Needs人間の基本的な欲求は、生理的欲求から自己実現の欲求まで「優先度の階層」をなしており、より優先度の高い欲求がある程度満たされると、次の欲求が行動を動かすようになる、とする理論。同類性Homophily人は自分と似た人とつながりやすく、その結果、情報や考え方がネットワークの中で局所的にとどまりやすいという視点。i-deals・個別配慮Idiosyncratic Deals (I-deals)従業員が雇用主と個別に交渉して、同僚とは異なる働き方や処遇の条件を得ることがある。こうした個別の取り決めは、従業員と組織の双方に利益をもたらしうるが、同僚から公正だと受け止められるかどうかが鍵になる、とする理論。職務特性モデルJob Characteristics Model仕事に技能の多様性、タスク完結性、タスク重要性、自律性、フィードバックという五つの特性がそなわると、働く人は仕事の意味と結果への責任を実感し、仕事の結果を知ることができるため、内側から動機づけられる。その効果は成長欲求の強い人ほど大きい、とする理論。ジョブ・クラフティングJob Crafting働く人は、与えられた職務をそのまま受け取るだけでなく、仕事の範囲、人との関わり方、仕事の捉え方を自分で変えている。その結果、仕事の意味や自分が何者かという感覚も変わる、とする理論。仕事の要求度-資源モデルJob Demands-Resources Modelどの職種の仕事の特徴も「仕事の要求度」と「仕事の資源」の二つに分けられ、要求度が高すぎると消耗が、資源が足りないと仕事からの離脱が生じ、この二つがバーンアウト(燃え尽き)をつくる、とする理論。職務埋め込み(ジョブ・エンベデッドネス)Job Embeddedness人が会社にとどまるのは、仕事に満足しているからだけではない。職場や地域の人や活動とのつながり、仕事や暮らしとの相性、辞めると失うものの大きさが、網のように人をその職にとどめている、とする考え方。LMX理論(リーダー・メンバー交換理論)Leader-Member Exchange (LMX) Theoryリーダーシップを、リーダー個人の特性や行動ではなく、リーダーと一人ひとりのメンバーとの二者関係の質としてとらえ、その関係が成熟したパートナーシップに育つほど、双方に多くの恩恵が生まれるとする理論。ネットワーク活性化Network Activation知り合いがいることと、必要な場面でその人を思い浮かべることは同じではない。ネットワーク活性化は、持っている関係(潜在的ネットワーク)のうち、ある状況で頭に浮かぶ部分(活性化されたネットワーク)に注目し、実際に助けを頼む動員と区別する。Smith, Menon & Thompson (2012) は、職を失う脅威のもとで、自分を低い地位とみる人は小さく密なネットワークを、高い地位とみる人は大きく開いたネットワークを思い浮かべることを示した。組織市民行動Organizational Citizenship Behavior職務として決められてはいないが、同僚を助ける、組織の活動に進んで関わるといった自発的な行動が、積み重なることで組織の働きを支えている、とする理論。組織コミットメント(3次元モデル)Organizational Commitment: Three-Component Model従業員と組織の結びつきには、情緒的、存続的、規範的という性質の異なる三つの要素があり、それぞれが別の理由で人を組織にとどまらせる、とする理論。組織文化Organizational Culture組織文化とは、集団が問題に対処する中で身につけ、妥当と認められて、正しい見方・考え方として新しいメンバーに教えられていく基本的前提の型である。目に見える人工物、表明された価値観、無意識の基本的前提の三層からなる、とする理論。組織アイデンティティOrganizational Identity「私たちは組織として何者か」という問いへの答えとして、組織を他の組織から区別する中心的で持続的な特徴を捉える概念。その特徴が本当に「持続的」なのか、それとも外部のイメージとの相互作用で変わっていくのかをめぐって議論がある。組織的刻印Organizational Imprinting組織や個人は、創業期や入社直後のような環境の影響を受けやすい短い時期に、その時の環境を映す特徴を身につけ、環境が大きく変わった後もそれを持ち続ける。刻印の議論は、どの時期のどんな条件が、どのレベルに、どんな特徴を残したのかを問う。組織的公正Organizational Justice人は職場で、結果の配分、決め方の手続き、相手からの扱い、説明の仕方のそれぞれについて公正さを判断する。組織的公正はこの四つの次元に分けて捉えられ、次元ごとに異なる態度や行動と結びつく、という視点。パス・ゴール理論Path-Goal Theory of Leader Effectivenessリーダーの役割は、部下が仕事の目標を達成したときに得られる報酬を高め、そこに至る道筋(パス)を明確にし、障害を取り除くことにあり、どのリーダー行動が効果的かは仕事の性質などの状況によって変わるとする理論。PM理論Performance-Maintenance (PM) Theory of Leadershipリーダーシップには、集団の目標の達成にかかわるP(performance)機能と、集団の社会的な安定を保つM(maintenance)機能があり、両方を示すPM型のリーダーのもとで、部下の生産性と職務態度がもっともよくなりやすいとする理論。心理的契約Psychological Contract働く人は、組織との間で「自分がこう貢献すれば、組織はこう報いる約束をした」という個人的な信念を抱く。この信念が裏切られたと感じると、単なる期待外れよりも強い反応が起こる、とする理論。心理的安全性Psychological Safetyチームのメンバーが「このチームでは、対人関係上のリスクをとっても安全だ」という信念を共有していると、フィードバックを求める、誤りについて話し合うといった学習行動が起こりやすくなり、それがチームの成果につながる、とする理論。集団発達の断続均衡モデル(中間点の移行)Punctuated Equilibrium Model of Group Development期限のある課題に取り組むチームは、決まった段階を順にたどるのではなく、最初の会合で固まったやり方を期間の前半まで続け、期限までのちょうど中間点で大きく方針を転換し、その新しい方針で後半を進める、とするモデル。Gersick (1988) が8つのチームの観察から提案した。科学的管理法Scientific Management仕事の速さや手順、働く人の選び方と払い方を、伝統や勘ではなく研究と実験で確かめた事実にもとづいて決めるべきだとする、Taylor が唱えた管理の考え方。時間・動作研究、標準化、毎日の課業、金銭の割増、科学的選抜、休憩などの技法からなる。自己決定理論Self-Determination Theory人には有能さ、自律性、関係性という三つの基本的な心理的欲求があり、それらが満たされる環境では内発的動機づけや、外からの価値の取り込み(内在化)が進み、成長と健康につながる、とする理論。SL理論(状況対応リーダーシップ)Situational Leadership Theoryリーダーの効果的なスタイル(仕事の指示と、部下への気づかいや支援の組み合わせ)は部下の成熟度(仕事の能力と意欲)によって変わり、成熟度が上がるにつれて指示型・説得型・参加型・委任型へと移していくべきだとする、処方型のリーダーシップ理論。社会的交換理論Social Exchange Theory人間関係を、相手から返ってくる見返りに左右される行為のやりとりとして捉える理論。返す義務の中身が決まっていない社会的交換は、恩義や感謝、信頼の感覚を生み、時間をかけて互いに報われる関係をもたらすとされる。交換は権力の差も生むとされる。社会的アイデンティティ理論Social Identity Theory人は自分を、部分的には、所属する集団のメンバーであることによって定義する。組織への同一化とは、組織と自分が一体である、あるいは組織に属しているという知覚であり、それが組織を支える行動や集団間の関係を左右する、とする理論。社会的手抜きSocial Loafing人は、一人で作業するときより、集団で一緒に作業するときのほうが努力を減らす傾向がある。この現象を社会的手抜きと呼ぶ。一人ひとりの貢献が見分けられず評価されないときや、課題に意味を感じないときに起こりやすく、条件によってはなくなる。集団発達の段階モデル(タックマン・モデル)Stages of Group Development小集団は、互いを探りながらリーダーに頼る形成期、対立と抵抗が表れる混乱期、まとまりと新しい規範が生まれる統一期、役割が柔軟になり力を課題に注ぐ機能期の四つの段階を順にたどる、とするモデル。Tuckman (1965) が50本の文献を整理して提案した。技術受容モデル(TAM)Technology Acceptance Model人が新しい情報技術を使うかどうかは、主に「役に立ちそうか(知覚された有用性)」と「使うのが楽そうか(知覚された使いやすさ)」という二つの認識で説明できる、とする理論。テルティウス・イウンゲンスTertius Iungensつながっていない人どうしを引き合わせたり、すでにつながっている人どうしの新しい協力を促したりする「結びつける第三者」の志向が、組織のイノベーションへの関与につながるとする理論。弱い紐帯の強さThe Strength of Weak Ties親しい相手との強いつながりよりも、たまに会う程度の弱いつながりのほうが、異なる集団の間を橋渡しし、新しい情報や機会を遠くまで運ぶという理論。Granovetter (1973) が、二人の友人関係の重なりという単純な仮説から導いた。トークニズムTokenism集団のなかでごく少数しかいない属性の人々は、個人としてではなく、その属性を代表する「象徴」として扱われる。そのため、目立ちすぎ、多数派との違いが誇張され、型にはまった役割を押しつけられるという不利を負う。こうした不利は、個人の資質ではなく集団内の人数の比率という構造から生じる、とする理論。トランザクティブ・メモリー(交換記憶)Transactive Memory集団では、全員がすべてを覚えるのではなく、「誰が何を知っているか」を互いに把握し、記憶を分担している。この分担の仕組みが集団の知的な働きを支えるとする理論。変革型リーダーシップTransformational Leadershipリーダーは、報酬と引き換えに働きを求める取引だけでなく、部下の意識や欲求そのものを高め、自分の利害を超えて集団のために、当初の期待以上の働きをするよう動機づけることができる、とする理論。二要因理論(動機づけ-衛生理論)Two-Factor Theory仕事への満足をもたらす要因と不満をもたらす要因は別のものであり、満足は仕事そのものに関わる要因から、不満は仕事を取り巻く環境に関わる要因から生じる、とする理論。ワーク・エンゲイジメントWork Engagement / Personal Engagement人は仕事の役割に、自分の身体・認知・感情をどれだけ注ぎ込むかを、その時々に調整している。自分を注ぎ込むかどうかは、その仕事に意味があるか、自分を出しても安全か、注ぎ込む余力があるか、という三つの心理的条件で決まる、とする理論。仕事と家庭の葛藤(ワーク・ファミリー・コンフリクト)Work–Family Conflict仕事の役割と家庭の役割から来る圧力が互いに両立せず、一方の役割を果たすことで、もう一方の役割を果たすのが難しくなる、という役割間の葛藤。時間、緊張、行動の三つの形があり、仕事が家庭を妨げる向きと、家庭が仕事を妨げる向きがある。

概念・現象 1

隠れたプロフィールHidden Profile話し合いに必要な情報がメンバーに分かれて持たれ、各自の手元の情報だけでは別の案が良く見える状況。集団は全員が知っている情報ばかりを話し合いがちなため、情報を持ち寄れば分かるはずの最善の案を見逃しやすい。

論文・書籍 1

Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams職場のチームにおける心理的安全性と学習行動「チームの心理的安全性」という概念を提示し、オフィス家具メーカーの51チームを対象に、質的調査とアンケートを組み合わせて検証した論文。心理的安全性は学習行動を通じてチームの成果につながり、リーダーのコーチングや組織の支援は心理的安全性を通じて学習行動に影響することを示した。

研究法 11

質的研究のアプローチ(流派)Approaches to Qualitative Research経営学の質的研究には、Eisenhardt 法、Gioia 法、グラウンデッド・セオリー、エスノグラフィー、プロセス研究などの流派がある。めざす理論、現実と知識の前提、データと分析の仕方で見分けられるが、境界は論者によって違う。共通方法分散(同じ回答者によるバイアス)Common Method Variance同じ人に同じアンケートで複数のことを尋ねると、測り方が共通していることで回答が同じ方向にずれ、変数どうしの関連が歪むことがある。関連を強く見せることも弱く見せることもあり、どこまで深刻かは研究者のあいだで意見が分かれている。相関と因果(内生性)Correlation, Causation, and Endogeneity二つのことが一緒に起きていても、一方が他方の原因だとは限らない。共通の原因、逆向きの影響、自分で選んだことによる偏りがあると、関連の大きさだけでなく向きまで誤ることがある。「関連している」と書くだけでは足りず、因果と言うには何が足りないのかを示す必要がある。推論の型(演繹・帰納・アブダクション)Deduction, Induction, and Abduction研究で使う推論には、一般から個別を導く演繹、個別から一般を推す帰納、驚くべき観察からそれを説明する仮説を推すアブダクションがある。どれも確かさを保証せず、どの研究の型も三つを組み合わせて使う。論文は考えた順ではなく、再構成された順で書かれている。グラウンデッド・セオリーGrounded Theoryデータの収集と分析を同時に進め、次に集めるデータをつくりつつある理論で選びながら、データから概念と理論を組み立てる方法。名乗る研究は多いが、何を指すかは論文ごとに違い、中核の手続きを守っているかの確認が要る。分析のレベル(生態学的誤謬)Levels of Analysis同じ二つの変数でも、個人ごとに見るか、地域や組織の平均で見るかで、関係の強さも向きも変わることがある。集団のデータから個人を語る誤りと、個人のデータだけで集団の影響を見落とす誤りの両方がある。理論が何についての主張か、データをどの単位で集め、分析したかを合わせる必要がある。媒介分析Mediation Analysis「X が M を通じて Y に効く」という仕組みを確かめる分析。経営学でも広く使われてきたが、一度の調査では M と Y の順番も大きさも正しく推定できないことが多く、原因だけを割り当てた実験でも偏りは残る。有意な結果は、仮定した仕組みと矛盾しないことを示すにとどまる。組織エスノグラフィーOrganizational Ethnography研究者が組織の現場に長く身を置き、人々の言動とその意味づけを観察して書き上げる研究の進め方。現場の人が語る「体裁」と実際の行動をどう見分けるか、一つの現場から何が言えるかについて、方法の側が自ら限界を認めつつ答えている。科学哲学の立場Philosophical Positions in Management Research研究の手前には、対象は研究者と独立に存在するか、それをどう知りうるかという前提がある。実証主義、解釈的アプローチ、批判的実在論、構成主義の考え方を、それぞれを論じた論文にもとづいて紹介し、構成主義と批判的実在論のあいだの論争と、二つのアプローチを統合する試みを示す。理論化と問いの立て方Theorizing and Research Questions理論はどう生まれるのか。科学哲学は長く、理論を考え出す「発見の文脈」より、理論を検証する「正当化の文脈」を重視してきた。理論化の手順、先行研究の隙間を埋める問いと前提を疑う問いの違い、文献そのものから理論をつくる方法を紹介し、理論化を重んじすぎることへの指摘も併せて示す。理論とは何かWhat Is Theory?「理論」という言葉は、変数の関係の命題、現象の説明、解釈、ものの見方など、いくつもの意味で使われている。何が理論でないかについては比較的合意があるが、理論化には説明・解釈・批判など複数の形がある。経営学は理論を求めすぎているという批判と、理論の価値を擁護する議論もある。
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