FIELD / HUMAN RESOURCE MANAGEMENT
人的資源管理
研究分野「人的資源管理」(Human Resource Management)に分類される項目です(理論 27・研究法 2)。ひとつの理論が複数の分野に属することがあります。
理論・視点 27
エージェンシー理論Agency Theory仕事を任せる人(プリンシパル)と任される人(エージェント)の利害は一致するとは限らず、情報も偏っている。その結果生じるズレとコストを、監視や報酬の設計で抑えようとする理論。バウンダリーレス・キャリアBoundaryless Careerキャリアを一つの組織の中で昇進していくものとしてではなく、組織や職種の境界を越えて築かれていくものとして捉える視点。天職(コーリング)Calling (Job, Career, and Calling Orientations)人と仕事の関係には、生活の糧を得る手段とみる「仕事(ジョブ)」、昇進を重視する「キャリア」、仕事そのものに充実感と社会的な意義を見いだす「天職(コーリング)」という違いがあり、同じ職業の中にもこの三つが見られる、とする考え方。天職と感じている人ほど、生活や仕事への満足が高い傾向がある。感情労働Emotional Labor接客などの仕事では、働き手は賃金と引き換えに自分の感情を管理し、組織が求める表情や態度を示している。この感情の管理は、本来は私的なものだった感情を商品にし、働き手を自分の感情から遠ざけることがある、という視点。公平理論Equity Theory人は、自分が仕事に注ぎ込んだもの(投入)と受け取ったもの(成果)の釣り合いを、比較相手の投入と成果に照らして判断し、釣り合っていないと感じると緊張が生じて、それを解消しようと行動する、とする理論。報酬が少なすぎるときだけでなく、多すぎるときにも不公平は生じるとした。期待理論Expectancy Theory人がある行動をとる力は、その行動が望ましい結果につながるという見込み(期待)と、その結果の魅力(誘意性)を掛け合わせ、起こりうる結果について足し合わせたもので決まる、とする理論。目標設定理論Goal-Setting Theory人が意識的に目指す目標が行動を直接に方向づけ、難しく具体的な目標は、易しい目標や「ベストを尽くせ」という曖昧な目標よりも高い成果につながる、とする理論。ホーソン研究(人間関係論)Hawthorne Studies and the Human Relations Movement1924年から1932年にかけて米国ウェスタン・エレクトリック社のホーソン工場で行われた一連の調査と、そこから導かれた、作業量を左右するのは物理的・経済的な条件よりも職場の人間関係や監督のあり方だという結論。人間関係論の拠り所となったが、後の再検討では、証拠は結論を支えていないとされる。欲求階層説Hierarchy of Needs人間の基本的な欲求は、生理的欲求から自己実現の欲求まで「優先度の階層」をなしており、より優先度の高い欲求がある程度満たされると、次の欲求が行動を動かすようになる、とする理論。高業績作業システムHigh-Performance Work Systems採用・選抜、訓練、成果に連動した報酬、従業員の参加といった人事施策を組み合わせて用いると、従業員の能力と意欲が高まり、離職の低下や生産性・財務業績の向上につながるとする視点。人的資本理論Human Capital Theory教育、職業訓練、健康などへの支出を、人に体化された資源を増やして将来の所得を高める「投資」としてとらえ、個人や企業がどれだけ投資するかを費用と収益の比較で説明する理論。i-deals・個別配慮Idiosyncratic Deals (I-deals)従業員が雇用主と個別に交渉して、同僚とは異なる働き方や処遇の条件を得ることがある。こうした個別の取り決めは、従業員と組織の双方に利益をもたらしうるが、同僚から公正だと受け止められるかどうかが鍵になる、とする理論。職務特性モデルJob Characteristics Model仕事に技能の多様性、タスク完結性、タスク重要性、自律性、フィードバックという五つの特性がそなわると、働く人は仕事の意味と結果への責任を実感し、仕事の結果を知ることができるため、内側から動機づけられる。その効果は成長欲求の強い人ほど大きい、とする理論。ジョブ・クラフティングJob Crafting働く人は、与えられた職務をそのまま受け取るだけでなく、仕事の範囲、人との関わり方、仕事の捉え方を自分で変えている。その結果、仕事の意味や自分が何者かという感覚も変わる、とする理論。仕事の要求度-資源モデルJob Demands-Resources Modelどの職種の仕事の特徴も「仕事の要求度」と「仕事の資源」の二つに分けられ、要求度が高すぎると消耗が、資源が足りないと仕事からの離脱が生じ、この二つがバーンアウト(燃え尽き)をつくる、とする理論。職務埋め込み(ジョブ・エンベデッドネス)Job Embeddedness人が会社にとどまるのは、仕事に満足しているからだけではない。職場や地域の人や活動とのつながり、仕事や暮らしとの相性、辞めると失うものの大きさが、網のように人をその職にとどめている、とする考え方。組織市民行動Organizational Citizenship Behavior職務として決められてはいないが、同僚を助ける、組織の活動に進んで関わるといった自発的な行動が、積み重なることで組織の働きを支えている、とする理論。組織コミットメント(3次元モデル)Organizational Commitment: Three-Component Model従業員と組織の結びつきには、情緒的、存続的、規範的という性質の異なる三つの要素があり、それぞれが別の理由で人を組織にとどまらせる、とする理論。組織的公正Organizational Justice人は職場で、結果の配分、決め方の手続き、相手からの扱い、説明の仕方のそれぞれについて公正さを判断する。組織的公正はこの四つの次元に分けて捉えられ、次元ごとに異なる態度や行動と結びつく、という視点。心理的契約Psychological Contract働く人は、組織との間で「自分がこう貢献すれば、組織はこう報いる約束をした」という個人的な信念を抱く。この信念が裏切られたと感じると、単なる期待外れよりも強い反応が起こる、とする理論。科学的管理法Scientific Management仕事の速さや手順、働く人の選び方と払い方を、伝統や勘ではなく研究と実験で確かめた事実にもとづいて決めるべきだとする、Taylor が唱えた管理の考え方。時間・動作研究、標準化、毎日の課業、金銭の割増、科学的選抜、休憩などの技法からなる。自己決定理論Self-Determination Theory人には有能さ、自律性、関係性という三つの基本的な心理的欲求があり、それらが満たされる環境では内発的動機づけや、外からの価値の取り込み(内在化)が進み、成長と健康につながる、とする理論。社会的交換理論Social Exchange Theory人間関係を、相手から返ってくる見返りに左右される行為のやりとりとして捉える理論。返す義務の中身が決まっていない社会的交換は、恩義や感謝、信頼の感覚を生み、時間をかけて互いに報われる関係をもたらすとされる。交換は権力の差も生むとされる。トークニズムTokenism集団のなかでごく少数しかいない属性の人々は、個人としてではなく、その属性を代表する「象徴」として扱われる。そのため、目立ちすぎ、多数派との違いが誇張され、型にはまった役割を押しつけられるという不利を負う。こうした不利は、個人の資質ではなく集団内の人数の比率という構造から生じる、とする理論。二要因理論(動機づけ-衛生理論)Two-Factor Theory仕事への満足をもたらす要因と不満をもたらす要因は別のものであり、満足は仕事そのものに関わる要因から、不満は仕事を取り巻く環境に関わる要因から生じる、とする理論。ワーク・エンゲイジメントWork Engagement / Personal Engagement人は仕事の役割に、自分の身体・認知・感情をどれだけ注ぎ込むかを、その時々に調整している。自分を注ぎ込むかどうかは、その仕事に意味があるか、自分を出しても安全か、注ぎ込む余力があるか、という三つの心理的条件で決まる、とする理論。仕事と家庭の葛藤(ワーク・ファミリー・コンフリクト)Work–Family Conflict仕事の役割と家庭の役割から来る圧力が互いに両立せず、一方の役割を果たすことで、もう一方の役割を果たすのが難しくなる、という役割間の葛藤。時間、緊張、行動の三つの形があり、仕事が家庭を妨げる向きと、家庭が仕事を妨げる向きがある。研究法 2
共通方法分散(同じ回答者によるバイアス)Common Method Variance同じ人に同じアンケートで複数のことを尋ねると、測り方が共通していることで回答が同じ方向にずれ、変数どうしの関連が歪むことがある。関連を強く見せることも弱く見せることもあり、どこまで深刻かは研究者のあいだで意見が分かれている。媒介分析Mediation Analysis「X が M を通じて Y に効く」という仕組みを確かめる分析。経営学でも広く使われてきたが、一度の調査では M と Y の順番も大きさも正しく推定できないことが多く、原因だけを割り当てた実験でも偏りは残る。有意な結果は、仮定した仕組みと矛盾しないことを示すにとどまる。OTHER FIELDS
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