理論・視点

同類性Homophily

別名ホモフィリー

原典と照合済み本文の根拠にした文献は出典に記載(照合の手順)

一言で言うと

人は自分と似た人とつながりやすく、その結果、情報や考え方がネットワークの中で局所的にとどまりやすいという視点。

目次
説明したい問いなぜ人間関係のネットワークは、似た者同士で固まりやすいのか。

この理論で考えられる身近な疑問

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中核的な問い

友人、相談相手、仕事仲間を見渡すと、年齢、学歴、職業、考え方などが自分と似た人が多い。これは単なる好みの問題なのか。それとも、出会う機会の偏りなど、社会の仕組みから生まれるのか。そして、この偏りは何をもたらすのか。

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主張とメカニズム

McPherson, Smith-Lovin & Cook (2001) は、同類性を「似た人どうしの接触が、似ていない人どうしの接触よりも高い頻度で起こるという原理」と定義した。そして、Lazarsfeld & Merton (1954) による区別に従って、人種や民族、性別、年齢、宗教、学歴、職業などの属性(地位の同類性)や、価値観や態度(価値の同類性)について、結婚、友人、職場の人間関係など多くの種類の関係で同類性が見られることを、先行研究をもとに整理した。

著者たちは、同類性を二つに分ける。一つは、出会える可能性のある人の顔ぶれ(人口構成)によって生じる「基準となる同類性」である。もう一つは、その顔ぶれから予想される程度を超えて生じる「内集団的な同類性」である。ただし、内集団的な同類性は個人の好みだけを表すものではなく、自発的な団体などの活動の場によって生じるものも含む。同類性の源泉としては、地理的な近さ、家族の結びつき、学校・職場・自発的な団体といった組織、同じような役割に就くこと、そして似た人のほうが話が通じやすいといった認知的な過程が挙げられる。また、似ていない人とのつながりは、似た人とのつながりよりも切れやすい。

その結果、ネットワークを通じて流れる文化、行動、情報などは、局所的にとどまりやすい。同類性は人々の社会的な世界を狭め、人が受け取る情報、形づくる態度、経験するやりとりに大きな影響を及ぼす。

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身近な例

たとえば、ある大学のゼミで、同じ部活やサークルの学生どうしがいつも同じグループになるとしよう。本人たちは「気が合うから」と思っているが、そもそも授業外で会う機会が多いのはその相手である。気の合わない人とは、グループが変わると自然に疎遠になる。こうして情報も似た人の間で回り、別のグループが知っている授業や就職の情報は届きにくくなる。

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主要概念

同類性(homophily)
似た人どうしの接触が、似ていない人どうしの接触よりも高い頻度で起こるという原理。
地位の同類性(status homophily)
人種、性別、年齢、学歴、職業など、社会的な属性が似た人どうしが結びつくこと。
価値の同類性(value homophily)
価値観、態度、信念が似た人どうしが結びつくこと。
基準となる同類性(baseline homophily)
出会える可能性のある人の顔ぶれ(人口構成)によって生じる同類性。偶然に相手を選んだ場合に予想される程度の同類性にあたる。
内集団的な同類性(inbreeding homophily)
出会える人の顔ぶれから予想される程度を超えて生じる同類性。個人の好みによるものだけでなく、自発的な団体などの活動の場によって生じるものも含む。
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代表的な展開研究

  • Ibarra, H. (1992). Homophily and differential returns: Sex differences in network structure and access in an advertising firm. Administrative Science Quarterly. DOI ↗広告会社の社員のネットワークを調べ、男性は複数の種類の関係で同性とつながりやすいのに対し、女性は友人関係や支えを女性から得て、仕事に役立つ資源への近づきやすさは男性とのつながりから得るという、関係の種類によって分かれたつながり方をすることを示した。学歴や地位などを考慮すると、組織全体のやりとりの網にどれだけ入り込んでいるか(中心性)に男女差はなかったが、同じような個人の属性や地位、そして同性とのつながりから得られるネットワーク上の見返りは、男性のほうが大きいとみられた。
  • Kossinets, G., & Watts, D. J. (2009). Origins of homophily in an evolving social network. American Journal of Sociology. DOI ↗大学のコミュニティで、電子メールのやりとり、個人の属性、授業の履修を時間を追って記録したデータを用い、似た人どうしは新しいつながりを作りやすいが、その効果の多くは、共通の知人がいることや同じ集まりに属していることといった構造的な近さで説明されることを示した。そのうえで、似た人を選ぶ好みと構造的な機会の偏りが何世代にもわたって重なることで、弱い好みでも強い同類性に増幅されうると推測した。
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批判と境界条件

原典の McPherson, Smith-Lovin & Cook (2001) 自身が、つながりが切れる過程についての証拠は少ないと認めている。切れる過程を調べるには時間を追ったデータが要るため、研究が少ないという(p. 436)。著者たちは、つながりの解消はつながりの形成と同じ傾向をやや弱く示すと述べつつ、証拠が乏しいので、この結論は早計かもしれないとしている(pp. 436–437)。また、一時点のデータでは、同類性が選んでつながることと選んで切ることのどちらで生まれたのかに答えられず、二つの過程の関係や相対的な強さについての知見はまだ暫定的だとしている(pp. 437–438)。

McPherson et al. (2001, p. 417) によれば、友人どうしが似ていることを一時点で示した相関は、かつて仲間からの影響の証拠として使われていた。しかし、時間を追ったデータを用いた Cohen (1977) と Kandel (1978) は、似ていることの多くは、つながった後の影響よりも、似た相手を選んでつながることから生じていたことを示した(p. 428)。また、価値観の同類性や影響に見えるものの多くは、友人の考えを自分と同じだと思い込んでいることからも生じるという(p. 429)。

Kossinets & Watts (2009, p. 408) は、原典の「基準となる同類性」と「内集団的な同類性」の区別は、McPherson & Smith-Lovin (1987) による、個人の好みから生じる選択的な同類性と、機会の構造から生じる誘発された同類性の区別とは異なり、内集団的な同類性にも構造から生じる部分が含まれると指摘した。大学の電子メールの時系列データでは、似た人どうしは新しいつながりを作りやすかったが、同じ集まりに属する人どうしに限ると、その効果はほぼ消えた(p. 428)。似ていないつながりが切れやすいという効果も、つながりの形成に比べてずっと弱く、同じ集まりに属することを考慮するとほぼなくなった(pp. 433–434)。ただし著者たちは、手近な機会がない場合には、人はやはり似た相手を選ぶとも述べている(p. 429)。

Kossinets & Watts (2009) は、似た人を選ぶ弱い好みと構造的な近さが何世代にもわたって重なることで、強い同類性に増幅されうると述べたが、これは推測であり、どの程度弱い好みなら目立った同類性が生まれないのかを確かめるにはシミュレーションが必要だとしている(pp. 436–437)。また、データには人種や社会経済的地位が含まれず、大学という比較的同質なコミュニティを対象としているため、一般には個人の好みがより強く、構造の影響がより弱い可能性があると、著者たち自身が認めている(p. 438)。

研究上の位置づけ

原典McPherson, M., Smith-Lovin, L., & Cook, J. M. (2001)
Birds of a feather: Homophily in social networks
分類概念
地図の区画ネットワーク
分析単位個人 · 二者関係 · コミュニティ
理論系譜ネットワーク · 社会学
REFERENCES

出典

本ページは学習用の要約です。正確な引用や議論には原典を確認してください。