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Absorptive Capacity
吸収能力
外部の新しい知識の価値に気づき、それを取り込み、自社の商業的な成果に結びつける能力は、それまでに蓄積してきた関連知識の量に左右される、とする理論。
問い外部の同じ知識に触れても、それを生かせる企業と生かせない企業があるのはなぜか。
Agency Theory
エージェンシー理論
仕事を任せる人(プリンシパル)と任される人(エージェント)の利害は一致せず、情報も偏っている。その結果生じるズレとコストを、監視や報酬の設計で抑えようとする理論。
問い仕事を他者に任せるとき、相手に自分の利益のために動いてもらうにはどうすればよいか。
Architectural Innovation
アーキテクチュラル・イノベーション
製品の部品そのものはほとんど変えず、部品どうしのつなぎ方(アーキテクチャ)を組み替える革新は、既存企業の知識や組織の仕組みを役に立たなくするため、見かけ以上に既存企業を苦しめる、とする理論。
問い小さな技術変化にすぎないように見える革新が、なぜ既存企業を失敗させるのか。
Behavioral Theory of the Firm
企業の行動理論
企業は一枚岩の利益最大化マシンではなく、利害の異なる人々の連合体である。目標と実績の差を見ながら、限られた探索とルールに頼って意思決定する、と説明する理論。
問い企業は、現実にはどのように目標を立て、意思決定し、行動を変えるのか。
Boundary Objects
境界物(バウンダリー・オブジェクト)
立場や専門の異なる集団が、完全な合意なしに協働できるのは、それぞれが自分なりに解釈しながらも共通に使える「モノ」があるからだ、とする考え方。
問い異なる世界に住む人々は、意味の食い違いを抱えたまま、どのように協働するのか。
Bounded Rationality
限定合理性
人は合理的であろうとするが、情報も計算能力も時間も限られている。そのため最適解を探すのではなく、「これで十分」と思える案で満足して決める、とする考え方。
問い能力や情報に限りのある人間は、どのように意思決定しているのか。
Communities of Practice
実践共同体
学習は、頭の中に知識を取り込むことではなく、ある実践を共有する人々の集まりに加わり、周辺から次第に中心へと参加を深めていく過程だとする視点。
問い人は仕事や技能を、教室や研修の外で、どのように身につけていくのか。
Contingency Theory
コンティンジェンシー理論(条件適合理論)
「どんな場合にも最善の組織」は存在しない。環境や技術などの条件に組織の形が合っているとき、成果が高まる、とする理論。
問い組織の最適な構造は、どのような条件によって変わるのか。
Core Competence
コア・コンピタンス
企業の競争力の根っこは、個々の製品や事業ではなく、複数の事業にまたがって生かせる技術やスキルの束にある。企業はそれを軸に事業を組み立てるべきだ、とする理論。
問い多角化した企業の競争力は、どこから生まれるのか。
Deliberate and Emergent Strategy
意図的戦略と創発的戦略
実際に実現する戦略は、事前に計画された意図的戦略だけでなく、日々の行動の積み重ねから結果として形づくられる創発的戦略が混ざり合ったものだ、という視点。
問い企業の戦略は、計画どおりにつくられるのか、それとも行動の中から生まれるのか。
Diffusion of Innovations
イノベーションの普及
新しいアイデアや製品は、人々のあいだのコミュニケーションを通じて時間をかけて広がり、その速さはイノベーションの性質や採用する人の特徴によって決まる、とする理論。
問い新しいアイデアや製品は、どのようにして社会に広がっていくのか。
Disruptive Innovation
破壊的イノベーション
優良な大企業は、主要顧客の声に応えて製品を改良し続けるからこそ、最初は性能が劣り安価な新技術を軽視し、やがてその技術を持つ新興企業に市場を奪われる、とする理論。
問いよく経営されている業界のリーダー企業が、なぜ新しい技術の登場で地位を失うのか。
Dynamic Capabilities
ダイナミック・ケイパビリティ
環境が速く変わる中で競争優位を保つには、今ある資源を持つだけでは足りない。社内外の資源を組み合わせ直し、作り変える能力が重要だ、とする理論。
問い変化の激しい環境で、企業はどのようにして競争優位を保ち続けるのか。
Evolutionary Theory of the Firm (Routines)
進化経済学(組織ルーティン)
企業の行動は、合理的な計算よりも、習慣化した「ルーティン」によって行われる。ルーティンは遺伝子のように受け継がれ、探索によって変わり、市場で選択される、とする理論。
問い企業の能力や行動パターンは、どのように保たれ、どのように変わっていくのか。
Exploration and Exploitation
探索と活用(知の探索・知の深化)
組織の学習には、新しい可能性を試す「探索」と、既にあるものを磨く「活用」がある。活用は確実で早く成果が出るため優先されやすいが、探索を怠ると長期的な適応力を失う、とする枠組み。
問い組織は、新しいことへの挑戦と、今の強みを磨くことの間で、資源をどう配分すべきか。
Five Forces
ファイブ・フォース
業界の収益性は、既存企業どうしの競争、新規参入の脅威、代替品の脅威、買い手の交渉力、売り手の交渉力という五つの力で決まる。企業はこれらの力が弱い位置を選ぶべきだ、とする枠組み。
問いなぜ業界によって、儲かりやすさがこれほど違うのか。
Garbage Can Model
ゴミ箱モデル
組織の意思決定は、問題・解決策・参加者・選択機会が別々に流れ込み、たまたま同じ「ゴミ箱」に居合わせたときに起こる。合理的な手順より、タイミングで決まることが多いとするモデル。
問い目標も手段も曖昧な組織では、意思決定はどのように行われるのか。
Generic Strategies and the Value Chain
基本戦略とバリューチェーン
競争優位は、コストで他社より安くするか、他社と違う価値を提供するかのどちらかから生まれる。その源泉は、企業が行う一連の活動(バリューチェーン)の中にある、とする枠組み。
問い企業はどのような方法で、競合に対する優位を築けるのか。
Institutional Isomorphism
制度的同型化
同じ業界の組織は、効率のためというより、周囲から正統だと認められるために、互いに似た形になっていく。その力には強制・模倣・規範の三つがある、とする理論。
問いなぜ同じ分野の組織は、互いに似通っていくのか。
Institutional Logics
制度ロジック
市場、専門職、家族、国家、宗教など、社会には複数の「当たり前」の考え方(ロジック)がある。どのロジックが優勢かによって、組織や人が何を重視し、どう行動するかが変わる、とする視点。
問い社会にある複数の価値観や規範は、組織や個人の行動をどう方向づけ、どうぶつかり合うのか。
Institutionalized Organizations (Myth and Ceremony)
制度化された組織(神話と儀式)
組織の公式な構造は、仕事の効率のためではなく、社会で「合理的」とされる考え方(神話)を儀式的に取り入れた結果であることが多い。実際の業務とは切り離されていることもある、とする理論。
問い組織の公式な構造は、なぜ実際の仕事のやり方と一致しないことがあるのか。
Knowledge-Based View of the Firm
知識ベース・ビュー
企業にとって最も重要な資源は知識である。企業は、個人がばらばらに持つ専門知識を統合し、製品やサービスに変えるための仕組みだ、とする視点。
問い知識を持つのは個人なのに、なぜ企業という組織がそれを活かす場として存在するのか。
Loose Coupling
ルース・カップリング(緩やかな結合)
組織の部分同士は、互いに反応しあいながらも、それぞれの独自性を保ち、ゆるくしかつながっていない。この「ゆるさ」が、欠点であると同時に適応の強みにもなる、とする見方。
問い組織の各部分がきっちり連動していないことは、何を意味し、どんな働きを持つのか。
Open Innovation
オープン・イノベーション
企業は研究開発を自社内だけで完結させるのではなく、外部の知識を取り込み、自社で使わない技術を外部に出すことで、より多くの価値を生み出せる、という視点。
問い企業は、自社の外にある知識や技術を、どのように使って新しい価値を生み出すのか。
Organizational Ambidexterity
両利きの経営(組織の両利き)
既存事業を磨く力と、新しい事業を切り開く力を、一つの組織の中で同時に持つこと。そのために、異なる文化を持つ部門を分けつつ、トップが統合する、といった仕組みが必要だとする理論。
問い組織は、既存事業の効率化と新事業の開拓を、どうすれば両立できるのか。
Organizational Culture
組織文化
組織文化とは、集団が問題を解決する中で身につけ、「当たり前」として新しいメンバーに伝えていく前提の体系である。目に見える人工物、表明された価値観、無意識の基本的前提の三層からなる、とする理論。
問い組織の「らしさ」はどのように形成され、人々の行動をどう方向づけるのか。
Organizational Identity
組織アイデンティティ
「私たちは何者か」という問いへの、組織メンバーの答え。中心的で、独自で、時間を超えて続くと考えられている組織の特徴であり、戦略や変化への反応を方向づける。
問い組織メンバーは「自分たちは何者か」をどう理解し、それが行動にどう影響するのか。
Organizational Knowledge Creation (SECI Model)
知識創造理論(SECIモデル)
組織の新しい知識は、言葉にしにくい暗黙知と、言葉や数字で表せる形式知が、共同化・表出化・連結化・内面化の四つの過程を通じて変換され、個人から組織へと螺旋状に広がることで生まれる、とする理論。
問い組織は、どのようにして新しい知識を生み出すのか。
Organizational Legitimacy
組織の正統性
組織の存在や行動が、社会の規範や価値観に照らして「適切だ」と受け入れられている状態。正統性があると資源や支持を得やすく、組織は正統性を獲得・維持・回復しようとする。
問い組織は、社会から「ふさわしい存在だ」と認められるために何をするのか。
Paradox Theory
パラドックス理論
組織には、短期と長期、効率と創造、統制と自由のように、矛盾しながらも両方必要な要素がつきまとう。どちらかを選ぶのではなく、両方を抱え続けることが長期的な成果につながる、とする理論。
問い組織は、互いに矛盾するが両方とも欠かせない要求に、どう向き合えばよいのか。
Population Ecology
個体群生態学
個々の組織は大きく変わることが難しい。組織の世界の変化は、主に新しい組織の誕生と古い組織の消滅によって起こる、と生物の進化になぞらえて説明する理論。
問い組織の多様性はなぜ生まれ、環境の変化に応じてどう入れ替わっていくのか。
Profiting from Innovation
イノベーションからの利益獲得
新しい技術を最初に生み出した企業が、必ずしもその利益を得られるとは限らない。誰が利益を手にするかは、模倣のしやすさ、支配的な設計が定まっているか、製造や販売などの補完的資産を誰が持つかで決まる、とする理論。
問いなぜイノベーションを最初に生み出した企業が負け、後から来た模倣者や補完的資産の持ち主が利益を得ることがあるのか。
Psychological Safety
心理的安全性
チームのなかで、質問やミスの報告、反対意見を口にしても、恥をかかされたり罰せられたりしないと皆が信じている状態が、チームの学習行動を促すとする理論。
問いなぜ一部のチームでは、メンバーが率直に発言し、失敗から学べるのか。
Punctuated Equilibrium
断続均衡モデル
組織は、長い安定期の中で少しずつしか変わらず、ときおり短期間に根本からまとめて変わる。変化は連続的ではなく、「安定」と「革命」の繰り返しとして起こる、とするモデル。
問い組織の大きな変化は、少しずつ積み重なって起こるのか、それとも一気に起こるのか。
Pyramid of Corporate Social Responsibility
CSRピラミッド
企業の社会的責任には、経済的責任を土台に、法的責任、倫理的責任、社会貢献(慈善的)責任という四つの層がある、と整理した枠組み。
問い企業は、社会に対してどのような責任を、どの順序で負っているのか。
Relational View
関係性ビュー
競争優位の源泉は、企業の内部だけでなく、企業と企業の関係の中にもある。関係に特化した投資や知識の共有によって、単独では得られない利益(関係レント)が生まれる、という視点。
問い企業どうしの協力関係は、なぜ競争優位の源泉になるのか。
Resource Dependence Theory
資源依存理論
組織は必要な資源を外部に頼っており、頼る相手に行動を縛られる。だから組織は、合併・提携・役員派遣などで依存をコントロールしようとする、とする理論。
問い組織は、外部の他者への依存をどのように管理しようとするのか。
Resource-Based View
資源ベース・ビュー
企業ごとの業績の差は、その企業が持つ資源の違いから生まれる。価値があり、希少で、真似しにくく、代わりがきかない資源を持つ企業が、持続的な競争優位を得るとする理論。
問い同じ業界にいながら、なぜ一部の企業だけが長く高い業績を上げ続けられるのか。
Sensemaking
意味形成(センスメイキング)
人は、予想外の出来事に出会うと、手がかりを拾い、もっともらしい筋書きをつくり、それに基づいて動く。組織とは、この意味づけと行動が絶えず繰り返される過程だとする視点。
問い人々は、曖昧で予想外の状況にどのように意味を与え、行動につなげるのか。
Single- and Double-Loop Learning
シングル・ループ学習とダブル・ループ学習
組織の学習には、決められた目標や前提の範囲で行動を修正するシングル・ループ学習と、その目標や前提自体を問い直すダブル・ループ学習の二つがある、とする理論。
問い組織は、なぜ誤りを直せても、誤りを生む前提そのものは変えにくいのか。
Stakeholder Theory
ステークホルダー理論
企業は株主だけのものではない。従業員、顧客、取引先、地域社会など、企業に影響を与え、影響を受けるすべての人々(ステークホルダー)の利害を考えて経営すべきだ、とする理論。
問い企業は誰のために経営されるべきで、多様な利害をどう調整するのか。
Stewardship Theory
スチュワードシップ理論
経営者は必ずしも利己的ではなく、組織のために働くこと自体に動機づけられる「執事(スチュワード)」でありうる。その場合、監視より信頼と権限の委譲が成果を高める、とする理論。
問い経営者を信頼して任せることが、監視するより良い成果を生むのはどのようなときか。
Structural Holes
構造的空隙
互いにつながっていない人々の間に位置する仲介者と、その位置から生じうる利点を考える。
問い異なる集団をつなぐ位置は、アイデアや成果にどう関わるのか。
Technological Discontinuities and Dominant Design
技術的不連続とドミナント・デザイン
技術は、飛躍的な変化(技術的不連続)が起きて複数の設計が競い合う混乱期を経て、一つの標準的な設計(ドミナント・デザイン)に落ち着き、その後は小さな改良が続く、という周期で進むとする理論。
問い技術はどのような周期で変化し、その変化は業界の企業にどんな影響を与えるのか。
Technology Acceptance Model
技術受容モデル(TAM)
人が新しい情報技術を使うかどうかは、主に「役に立ちそうか(知覚された有用性)」と「使うのが楽そうか(知覚された使いやすさ)」という二つの認識で説明できる、とする理論。
問い人はなぜ、ある情報技術を受け入れて使い、別の技術は使わないのか。
The Duality of Technology
技術の二重性
技術は、人がつくり、使い方を変えていく産物であると同時に、人の行動を方向づける枠組みでもある。技術と組織は一方的に影響するのではなく、人の使い方を通じて互いにつくり合う、という視点。
問い技術は組織を変えるのか、それとも人や組織が技術の意味を決めるのか。
The Strength of Weak Ties
弱い紐帯の強さ
弱い紐帯が、密につながった集団の間を結ぶことで情報の伝播に関わるという視点。
問い情報や機会は、どのように集団の境界を越えるのか。
Transaction Cost Economics
取引費用理論
取引には、相手を探し、交渉し、約束を守らせるためのコストがかかる。そのコストが大きい取引ほど、市場ではなく組織の内部(階層)で行われる、とする理論。
問いある活動は、なぜ市場で外部から買うのではなく、組織の内部で行われるのか。
Transactive Memory
トランザクティブ・メモリー(交換記憶)
集団では、全員がすべてを覚えるのではなく、「誰が何を知っているか」を互いに把握し、記憶を分担している。この分担の仕組みが集団の知的な働きを支えるとする理論。
問い集団は、メンバーの知識をどのように分担し、必要なときに引き出しているのか。
Two-Sided Markets and Platforms
二面市場・プラットフォーム
異なる二つの利用者グループを仲介するプラットフォームでは、一方の参加者が増えるほど他方にとっての価値が高まる。そのため価格や戦略は、両側のバランスを見て決めなければならない、とする理論。
問いプラットフォーム企業は、なぜ一方の利用者を無料にしたり、補助したりするのか。
Upper Echelons Theory
アッパーエシュロン理論(経営上層部理論)
組織は、そのトップ経営者たちの映し鏡である。経営者の経験・価値観・性格が状況の見え方を左右し、それが戦略の選択と業績に表れる、とする理論。
問い経営者が誰であるかは、企業の戦略や業績にどの程度影響するのか。
User Innovation
ユーザー・イノベーション
新しい製品やサービスの多くは、メーカーではなく、それを使う人(ユーザー)が自分の必要から生み出している。とくに市場の先端にいる「リードユーザー」は、将来の需要を先取りした発想の源になる、とする理論。
問いなぜメーカーではなく、製品を使うユーザーが新しいものを生み出すことがあるのか。
Brokerage
仲介
互いに直接結びついていない人や集団の間を媒介する位置や行為。
問い集団をまたぐつながりは、どのように働くのか。
Organizational Learning
組織学習
組織が経験や試行を通じて行動や知識を変化させる現象。
問い組織の経験は、将来の行動にどう影響するのか。
Exploration and Exploitation in Organizational Learning
組織学習における探索と活用March 1991 · Organization Science
新しい可能性の探索と、既存の確実性の活用の関係を考察する論文。
問い組織は探索と活用をどのように配分するか。
Sensemaking in Organizations
組織における意味形成Weick 1995 · SAGE Publications
組織における意味形成を体系的に論じた書籍。
問い人々は経験をどう解釈し、組織を形づくるか。
Structural Holes and Good Ideas
構造的空隙と優れたアイデアBurt 2004 · American Journal of Sociology
構造的空隙をまたぐネットワークと、アイデアの関係を扱う論文。
問い異なる集団を結ぶネットワークは、アイデアにどう関わるか。
The Strength of Weak Ties
弱い紐帯の強さGranovetter 1973 · American Journal of Sociology
社会ネットワークを通じて、ミクロとマクロの関係を考察する論文。
問い紐帯の強さは情報の伝播にどう関わるか。
Strong ties / Weak ties
強い紐帯と弱い紐帯
紐帯の強さと、ネットワークの橋渡しという二つの観点を区別して考えるための論点。
問いどのような情報や活動に、どのようなつながりが役立つのか。