理論・視点
Upper Echelons Theoryアッパーエシュロン理論(経営上層部理論)
一言で言うと組織は、そのトップ経営者たちの映し鏡である。経営者の経験・価値観・性格が状況の見え方を左右し、それが戦略の選択と業績に表れる、とする理論。
説明したい問い経営者が誰であるかは、企業の戦略や業績にどの程度影響するのか。
原典Hambrick, D. C., & Mason, P. A. (1984)
Upper echelons: The organization as a reflection of its top managers
Upper echelons: The organization as a reflection of its top managers
分類Theory
分析単位チーム · 組織
理論系譜認知 · 行動論
01
中核的な問い
同じ業界、同じ環境にいる企業でも、選ぶ戦略は大きく異なる。その違いは、経営者の個人的な特徴からどれだけ説明できるのか。
02
主張とメカニズム
Hambrick & Mason (1984) は、限定合理性の考え方を出発点にした。経営者は状況を丸ごと把握できないため、自分の経験や価値観というフィルターを通して、見るもの・解釈するものを選ぶ。
心理的な特性は直接測りにくいため、年齢、在任期間、職能経歴、学歴などの観察可能な属性を代わりの指標として用いることを提案した。後に Hambrick (2007) は、経営者の影響は「経営裁量」が大きい状況ほど強く表れると補足した。
03
身近な例
財務畑出身の社長はコスト削減やM&Aを、技術畑出身の社長は研究開発投資を重視しがちだ、とよく言われる。これは、経歴によって注目する情報や成功の型が異なるためと説明できる。
04
主要概念
- トップ・マネジメント・チーム(TMT)
- CEOを含む経営上層部の集団。
- 経営裁量(managerial discretion)
- 経営者が取りうる行動の幅。業界や社内の制約によって変わる。
- 人口統計学的属性(demographics)
- 年齢や在任期間、経歴など、観察可能な個人特性。
05
代表的な展開研究
- Finkelstein, S., & Hambrick, D. C. (1990). Top-management-team tenure and organizational outcomes: The moderating role of managerial discretion. Administrative Science Quarterly. DOI ↗経営陣の在任期間と戦略の関係が、経営裁量の大きさによって変わることを示した。
- Hambrick, D. C. (2007). Upper echelons theory: An update. Academy of Management Review. DOI ↗経営裁量や経営者の仕事の厳しさなど、理論の拡張と課題を整理した。
06
批判と境界条件
年齢や経歴といった属性で心理を代替する方法は、中身が「ブラックボックス」だと批判されてきた。また、経営者が戦略を決めるのか、企業の状況に合う経営者が選ばれるのかという因果の向きを区別するのが難しい。
出典
- 原典Hambrick, D. C., & Mason, P. A. (1984). Upper echelons: The organization as a reflection of its top managers. Academy of Management Review. DOI ↗
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