Dynamic Capabilitiesダイナミック・ケイパビリティ
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一言で言うと環境が速く変わる中で競争優位を保つには、今ある資源を持つだけでは足りない。社内外の資源を組み合わせ直し、作り変える能力が重要だ、とする理論。
Dynamic capabilities and strategic management
中核的な問い
資源ベース・ビューは、優れた資源を持つ企業が有利だと説明した。しかし技術や市場が急に変わると、かつての強みがかえって足かせになることがある。変化に合わせて強みを作り変える力は、どこから来るのか。
主張とメカニズム
Teece, Pisano & Shuen (1997) は、ダイナミック・ケイパビリティを、変化の速い環境に合わせて、社内外の能力をまとめ上げ、新たに育て、組み替える力として捉えた。ふだんの業務をこなす通常の能力とは区別される、一段上の能力である。
彼らは、この能力を三つの要素で捉えた。組織のプロセス(仕事の進め方や学習の仕組み)、ポジション(技術や顧客などの現在の資産)、経路(その企業がこれまでたどってきた道筋と、今後選べる道)である。企業の能力は過去の蓄積に左右される(経路依存性)ため、他社がすぐに買ったり真似したりすることは難しい。
身近な例
フィルムカメラ向けの化学技術を持つ企業が、写真市場の縮小を受けて、その技術を化粧品や医薬品の分野に振り向けるような例が、ダイナミック・ケイパビリティの説明によく用いられる。既存の技術を新しい事業に組み替える力が問われている。
主要概念
- ケイパビリティ(capability)
- 資源を組み合わせて特定の活動を行う組織の能力。
- 経路依存性(path dependence)
- 過去の選択や蓄積が、将来選べる道を制約すること。
- 再構成(reconfiguration)
- 環境の変化に合わせて、資源や組織の仕組みを組み替えること。
- 組織ルーティン(organizational routine)
- 組織の中で繰り返される、決まった行動のパターン。
代表的な展開研究
- Eisenhardt, K. M., & Martin, J. A. (2000). Dynamic capabilities: What are they?. Strategic Management Journal. DOI ↗ダイナミック・ケイパビリティを、製品開発や提携などの具体的な組織プロセスとして捉え直した。
- Teece, D. J. (2007). Explicating dynamic capabilities: The nature and microfoundations of (sustainable) enterprise performance. Strategic Management Journal. DOI ↗機会の感知、機会の捕捉、資源の再構成という三つの働きに整理した。
批判と境界条件
概念の定義が抽象的で、何がダイナミック・ケイパビリティなのかを事前に特定しにくいとの批判がある。「変化に対応できた企業には、その能力があった」という後づけの説明になりやすい。また、研究者によって定義が異なり、測定の方法も統一されていない。
出典
- 原典Teece, D. J., Pisano, G., & Shuen, A. (1997). Dynamic capabilities and strategic management. Strategic Management Journal. DOI ↗
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