理論・視点

Evolutionary Theory of the Firm (Routines)進化経済学(組織ルーティン)

一言で言うと

企業の行動は、合理的な計算よりも、習慣化した「ルーティン」によって行われる。ルーティンは遺伝子のように受け継がれ、探索によって変わり、市場で選択される、とする理論。

説明したい問い企業の能力や行動パターンは、どのように保たれ、どのように変わっていくのか。
原典Nelson, R. R., & Winter, S. G. (1982)
An Evolutionary Theory of Economic Change
分類Theory
分析単位組織
理論系譜進化論 · 行動論
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中核的な問い

経済学は企業を「最適な選択をする主体」とみなすが、実際の企業は過去のやり方を繰り返すことが多い。この繰り返しは、企業の能力や技術の変化をどう説明するのか。

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主張とメカニズム

Nelson & Winter (1982) は、企業の規則的で予測可能な行動のパターンを「ルーティン」と呼んだ。ルーティンは組織の記憶であり、多くは言葉にできない暗黙の知識として働いている。

ルーティンは生物の遺伝子のような役割を果たす。業績が悪化すると、企業は新しいやり方を探索し(突然変異)、うまくいくやり方を持つ企業が市場で成長する(選択)。こうして、経済全体の技術や産業構造が少しずつ進化していくと論じた。

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身近な例

ある工場の品質管理のやり方は、マニュアルにすべて書かれているわけではなく、ベテランの動きや現場の慣習として受け継がれている。そのため、他社が同じ手順書を手に入れても、同じ成果は簡単には再現できない。

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主要概念

ルーティン(routine)
組織の中で繰り返される、規則的な行動のパターン。
暗黙知(tacit knowledge)
言葉や文章にしにくい、経験に根ざした知識。
探索(search)
現在のルーティンを変えるための、新しいやり方の模索。
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代表的な展開研究

  • Feldman, M. S., & Pentland, B. T. (2003). Reconceptualizing organizational routines as a source of flexibility and change. Administrative Science Quarterly. DOI ↗ルーティンを、抽象的なパターンと実際の遂行の二側面から捉え、変化の源泉として位置づけた。
  • Winter, S. G. (2003). Understanding dynamic capabilities. Strategic Management Journal. DOI ↗日常の能力と、それを変える高次の能力(ダイナミック・ケイパビリティ)を区別した。
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批判と境界条件

「ルーティン」の定義が研究者によって異なり、何がルーティンなのかを特定・測定するのが難しい。また、生物進化の比喩をどこまで企業に当てはめられるかについても議論がある。企業は意図的に学習したり、他社を真似たりできるからである。

REFERENCES

出典

  • 原典Nelson, R. R., & Winter, S. G. (1982). An Evolutionary Theory of Economic Change. Belknap Press of Harvard University Press.

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