理論・視点

資源ベース理論Resource-Based View

別名RBV、リソース・ベースト・ビュー、資源ベース・ビュー

原典と照合済み本文の根拠にした文献は出典に記載(照合の手順)

一言で言うと

企業ごとの業績の差は、その企業が持つ資源の違いから生まれる。価値があり、希少で、真似しにくく、代わりがきかない資源が、持続的な競争優位の源泉になりうるとする理論。

目次
説明したい問い同じ業界にいながら、なぜ一部の企業だけが長く高い業績を上げ続けられるのか。

この理論で考えられる身近な疑問

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中核的な問い

Barney (1991) によれば、業界の環境に注目する従来の戦略研究は、同じ業界の企業は戦略上重要な資源も、とる戦略も同じだと暗に仮定してきた。資源に違いが生まれても、資源は市場で売り買いできるので、その違いはすぐに消えるとも仮定していた。しかし Barney は、ほとんどの業界には、資源の違いと移動しにくさがある程度はあると見るのが妥当だとした。では、どのような資源が持続的な競争優位の源泉になりうるのか。

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主張とメカニズム

Barney (1991) は二つの前提を置いた。同じ業界の企業でも、持っている戦略上の資源が異なりうる(異質性)。そして、その資源は企業の間を完全には移動できず、そのため違いが長く続きうる(移動困難性)。ここでいう資源とは、企業が支配し、効率と効果を高める戦略を考えて実行することを可能にする、あらゆる資産、能力、組織のプロセス、情報、知識などである。Barney はこれを、物的資本(物理的な技術、設備、立地、原材料の入手)、人的資本(働く人の訓練、経験、判断力、人間関係など)、組織資本(報告の仕組み、計画・統制・調整の仕組み、集団どうしや外部との関係)の三つに分けた。

そのうえで、資源が持続的な競争優位の源泉となりうるために必要な四つの属性を挙げた。価値がある(Valuable)、希少である(Rare)、模倣が難しい(Inimitable)、代替がきかない(Non-substitutable)である。後の研究では、頭文字をとって VRIN と呼ばれる(Eisenhardt & Martin, 2000)。模倣が難しくなる理由としては三つが挙げられ、そのどれか、または組み合わせによるとされた。その資源を得られるかどうかが、企業が歴史の中で置かれた独自の条件に左右されること、資源と競争優位の結びつきが競合にもその企業自身にもよく分からないこと(因果の曖昧さ)、経営者どうしの人間関係や企業の文化、取引先や顧客の間での評判のように社会的に複雑であることである。

03

身近な例

ある老舗旅館の強みが、長年勤める従業員どうしの連携や、代々受け継がれたもてなしの流儀にあるとする。競合が同じ建物を建てても、この強みは真似できない。従業員どうしの関係や受け継がれた流儀は社会的に複雑な資源であり、それが評判を生んでいると分かっていても、意図してつくり出すのは難しいからである。

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主要概念

経営資源(resources)
企業が支配し、効率と効果を高める戦略を考えて実行することを可能にする、資産、能力、組織のプロセス、情報、知識など。Barney (1991) は、物的資本、人的資本、組織資本の三つに分けた。
VRIN
価値・希少性・模倣困難性・代替不可能性という、資源が持続的な競争優位の源泉となりうるための四つの属性。Barney (1991) が挙げ、後の研究で頭文字をとってこう呼ばれた。価値があるとは、環境の機会を活かすか、脅威を和らげることをいう。
因果の曖昧さ(causal ambiguity)
企業が支配する資源と、その企業の持続的な競争優位との結びつきが、理解されていないか、ごく不完全にしか理解されていない状態。Barney (1991) は、これが持続的な競争優位の源泉となるには、優位を持つ企業自身を含むすべての競合企業が、その結びつきを不完全にしか理解していない必要があるとした。
持続的競争優位(sustained competitive advantage)
現在や潜在的な競合が同時には実行していない価値創造の戦略を実行し、しかも他社がその戦略の利益を複製できない状態。Barney (1991) は、どれだけ長く続くかではなく、他社が複製できるかどうかで定義した。
05

代表的な展開研究

  • Wernerfelt, B. (1984). A resource-based view of the firm. Strategic Management Journal. DOI ↗企業を製品の側からではなく、資源の側から分析することの有用性を探った。先に資源を持つ企業が、後から同じ資源を得ようとする企業のコストや収入を不利にする状況を、参入障壁になぞらえて資源ポジション障壁と呼んだ。Peteraf (1993) は、資源ベース理論の注目すべき貢献の一つに挙げている。
  • Peteraf, M. A. (1993). The cornerstones of competitive advantage: A resource-based view. Strategic Management Journal. DOI ↗資源ベース理論の経済学的な基礎を整理し、持続的な競争優位には四つの条件がすべて必要だとした。優れた資源が企業ごとに異なること(異質性)、優位を得た後にその超過利益をめぐる競争を抑える力があること(事後的な競争の制限)、資源が他社に移りにくく企業にとどまること(不完全な移動性)、優位な資源の地位を得る前にそれをめぐる競争が限られていたこと(事前的な競争の制限)である。
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批判と境界条件

Priem & Butler (2001, p. 28) は、「価値があり希少な資源は競争優位の源泉となりうる」という基本命題の言葉を Barney (1991) 自身の定義で置き換えると、定義上正しい命題になり、実証で確かめられないと論じた。競争優位が価値と希少性で定義され、それをもたらす資源の特徴も価値と希少性だからである (p. 28)。資源がどう競争優位を生むかという過程も、静的な研究ではブラックボックスのままで、高業績の企業に後から「価値ある」資源を見つけるのはたやすいという (p. 33)。Arend & Bromiley (2009, p. 83) も、企業間の違いを何でも資源ベース理論に帰する研究者がいることが、この見方の厳密さと信頼性を弱めるとした。一方 Barney (1991, p. 115) 自身は、この枠組みを資源の価値、希少性、模倣の難しさ、代替の有無という、確かめるべき実証上の問いを示すものと位置づけていた。

資源ベース理論は、資源の変化も扱いにくい。Arend & Bromiley (2009, p. 75) は、資源ベース理論を「静的と言える」見方とし、価値ある資源の変化を説明する必要に応えるのがダイナミック・ケイパビリティ論だとした。Eisenhardt & Martin (2000, p. 1106) によれば、資源ベース理論は、急速で予測できない変化の中で一部の企業が優位を持つ理由を十分に説明できなかったため、変化の激しい市場へと拡張された。そのうえで彼らは、効果的なダイナミック・ケイパビリティには企業をまたいだ共通点があるので、それ自体を長期的な優位の源泉とみなす議論は源泉を見誤っているとした(p. 1117)。長期的な優位は、その能力を競合より早く、巧みに、あるいは幸運に使って築いた資源の組み合わせにある(p. 1117)。さらに、変化が非常に速い市場では優位がいつまで続くか本質的に予測できず、資源ベース理論は適用の限界に突き当たるとした(p. 1118)。

Barney (1991) 自身も、この理論の範囲を限っている。持続的な競争優位とは、他社の複製によっては失われないという意味であり、永遠に続くことを意味しない(p. 103)。業界の構造が予想外に変わると、以前の資源が弱みになったり、無関係になったりすることがあるという(p. 103)。中核的な能力を扱った Leonard-Barton (1992, p. 111) も、伝統的な中核的能力には革新を妨げる裏面があるとし、これを中核的硬直性と呼んだ。

理論の前提をめぐっては、Arend & Bromiley (2009, p. 80) が、Barney (1991) と Peteraf (1993) による資源ベース理論の導出を強く経済学的なものとし、Peteraf (1993) のような経済学的分析は経済合理性と効率的な市場を前提にしていると論じた(p. 80)。これに対し Helfat & Peteraf (2009, p. 93) は、資源ベースの検討は均衡に基づくものの、完全な経済合理性も効率的な市場も必要としないと反論した。検討の一部はむしろ市場の非効率を確かめるものだという(p. 93)。実際、Peteraf (1993, p. 185) 自身も、資源を手に入れる市場が不完全でなければ、企業は通常の利益しか望めないとしていた。

研究上の位置づけ

原典Barney, J. (1991)
Firm resources and sustained competitive advantage
分類理論的視点
地図の区画戦略
分析単位組織
理論系譜経済学
REFERENCES

出典

本ページは学習用の要約です。正確な引用や議論には原典を確認してください。