概念・現象

組織学習Organizational Learning

原典と照合済み本文の根拠にした文献は出典に記載(照合の手順)

組織が経験から推論を引き出し、それをルーティンや知識として蓄え、将来の行動を変えていく現象。個人の学習の総和ではなく、組織としての記憶や手順に残る点が特徴である。

目次
説明したい問い組織は、経験から何をどのように学び、それはどこに蓄えられるのか。
01

定義

組織学習の定義は研究によって異なる。Levitt & March (1988) は、組織が歴史から引き出した推論をルーティンに書き込み、それが行動を方向づけることを組織学習とみなした。Huber (1991) は、ある主体が情報の処理を通じて、とりうる行動の範囲を変化させたとき、その主体は学習したと定義した。後者の定義では、実際の行動が変わらなくても、とりうる行動の範囲が変われば学習とみなされる。

Edmondson (1999) は、組織学習の研究には、学習を結果として扱うものと、過程として扱うものがあると整理した。Levitt & March (1988) は前者、誤りを発見して修正する過程として学習を定義した Argyris & Schön (1978) は後者にあたる。Edmondson 自身は後者の立場から、フィードバックを求める、誤りについて話し合うといった「学習行動」に注目した。

02

学習の過程

Huber (1991) は、組織学習にかかわる過程として、知識の獲得、情報の分配、情報の解釈、組織の記憶の4つを挙げた。Crossan, Lane & White (1999) は、個人の直観が解釈され、集団で統合され、組織の制度として定着するという4つの過程(4I)で、個人・集団・組織の学習をつなぐ枠組みを示した。

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学習の落とし穴

経験からの学習は、いつも組織を良くするとは限らない。Levitt & March (1988) は、ある手順で成功を重ねると、その手順が上達してさらに使われるようになり、より優れた手順を試す機会が失われる「有能さの罠」を指摘した。Levinthal & March (1993) は、学習が目先の成果、身近な範囲、成功の経験に偏りやすいこと(学習の近視眼)を論じている。

04

身近な例

たとえば、ある工場で不良品が出たとき、原因を調べて作業手順書を改訂したとしよう。担当者が異動しても、改訂された手順書が残っていれば、工場は同じ失敗を繰り返さない。これが、個人ではなく組織が学んだ状態である。一方、手順書が長年うまく機能していると、誰も手順そのものを疑わなくなり、より良いやり方が試されなくなることもある。

05

代表的な展開研究

  • Fiol, C. M., & Lyles, M. A. (1985). Organizational learning. Academy of Management Review. DOI ↗組織学習の概念の混乱を整理し、認知の変化としての学習と、行動の変化としての適応を区別した。
  • Levitt, B., & March, J. G. (1988). Organizational learning. Annual Review of Sociology. DOI ↗組織学習を、経験からの推論をルーティンに書き込む過程として捉え、有能さの罠などの問題を論じた。
  • Huber, G. P. (1991). Organizational learning: The contributing processes and the literatures. Organization Science. DOI ↗知識の獲得、情報の分配、情報の解釈、組織の記憶という4つの過程で研究を整理した。
  • Crossan, M. M., Lane, H. W., & White, R. E. (1999). An organizational learning framework: From intuition to institution. Academy of Management Review. DOI ↗直観・解釈・統合・制度化の4つの過程で、個人・集団・組織の学習をつなぐ枠組みを示した。
  • Argote, L., & Miron-Spektor, E. (2011). Organizational learning: From experience to knowledge. Organization Science. DOI ↗経験が知識に変わる過程と、それを左右する組織の文脈について、研究の枠組みを示した。
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批判と境界条件

組織学習は研究者によって定義が大きく異なり、同じ言葉で異なる現象が扱われてきた。Fiol & Lyles (1985) はこの混乱を早くから指摘し、認知の変化と行動の変化を区別するよう求めた。研究を読むときは、その研究が学習を行動の変化として測っているのか、知識や認知の変化として測っているのかを確認する必要がある。

研究上の位置づけ

分類現象
分析単位個人 · チーム · 組織
理論系譜行動論
REFERENCES

出典

本ページは学習用の要約です。正確な引用や議論には原典を確認してください。