Single- and Double-Loop Learningシングル・ループ学習とダブル・ループ学習
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一言で言うと組織の学習には、決められた目標や前提の範囲で行動を修正するシングル・ループ学習と、その目標や前提自体を問い直すダブル・ループ学習の二つがある、とする理論。
Organizational learning: A theory of action perspective
中核的な問い
組織は失敗から学ぶと言われる。しかし、同じ種類の失敗が繰り返されることも多い。表面的な修正にとどまる学習と、根本的な見直しに至る学習は、何が違うのか。
主張とメカニズム
Argyris & Schön (1978) は、エアコンのサーモスタットの比喩を用いた。設定温度に合わせて冷暖房を入れたり切ったりするのがシングル・ループ学習である。一方、「そもそも設定温度は適切か」を問うのがダブル・ループ学習である。前者は行動を修正し、後者は行動を方向づける規範や前提を修正する。
彼らはまた、人が口で言う考え(信奉理論)と、実際の行動を導いている考え(使用理論)は食い違うことが多いと指摘した。多くの人の使用理論は、恥をかかない、場を支配する、といった自己防衛に傾いている。その結果、組織には問題に触れないようにする「防衛的ルーティン」が生まれ、ダブル・ループ学習が妨げられる。
身近な例
売上が目標に届かない営業部が、訪問件数を増やして対応するのはシングル・ループ学習である。これに対し、「訪問件数で成果を測るやり方自体が顧客のニーズとずれていないか」と問い直すのがダブル・ループ学習である。会議でこの問いを口にすると上司の方針を否定するように見えるため、誰も言い出さないことがある。
主要概念
- シングル・ループ学習(single-loop learning)
- 目標や前提はそのままに、結果と目標のずれを埋めるように行動を修正する学習。
- ダブル・ループ学習(double-loop learning)
- 行動の背後にある目標、規範、前提そのものを問い直し、修正する学習。
- 信奉理論と使用理論(espoused theory / theory-in-use)
- 本人が自分の行動の理由として語る考えと、実際の行動から読み取れる考え。
- 防衛的ルーティン(defensive routines)
- 恥や脅威を避けるために、問題に触れないようにする組織内の習慣的な振る舞い。
代表的な展開研究
- Argyris, C. (1976). Single-loop and double-loop models in research on decision making. Administrative Science Quarterly. DOI ↗意思決定研究に二つの学習モデルを持ち込み、防衛的な行動様式が組織の学習を妨げることを論じた。
- Fiol, C. M., & Lyles, M. A. (1985). Organizational learning. Academy of Management Review. DOI ↗組織学習の研究を整理し、低次の学習と高次の学習を区別する枠組みを示した。
批判と境界条件
ダブル・ループ学習が常に望ましいかのように語られがちだが、前提を問い直し続けると日々の業務が進まない。二つの学習をどう実証的に見分けるかも難しい。また、処方の多くは Argyris らが関わった介入の事例に基づいており、一般化には慎重さが必要だとの指摘がある。
出典
- 原典Argyris, C., & Schön, D. A. (1978). Organizational learning: A theory of action perspective. Addison-Wesley.
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