論文・書籍 / Weick 1995

Sensemaking in Organizations組織における意味形成

原典と照合済み本文の根拠にした文献は出典に記載(照合の手順)

人々が曖昧で不確かな状況に意味を与え、その意味にもとづいて行動する過程(センスメイキング)を体系的に論じた書籍。センスメイキングの7つの特性を示した。

目次
説明したい問い人々は、何が起きているのか分からない状況に、どのように意味を与えていくのか。
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中心的な問い

この本は、組織の中の人々が、予想外の出来事や曖昧な状況に直面したとき、どのようにして「何が起きているのか」を理解し、行動につなげていくのかを扱う。Gioia (2006) によれば、センスメイキングは解釈を含むより広い過程であり、解釈はその一段階にすぎない。センスメイキングは行動を説明し、行動そのものを過程の一部として扱う点で、解釈とは区別される。

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7つの特性

Weick はセンスメイキングの特性として、次の7つを挙げた(Maitlis & Christianson, 2014 による)。アイデンティティの構築に根ざしていること、回顧的であること、意味の通る環境を自ら作り出すこと(イナクトメント)、社会的であること、絶えず進行していること、抽出された手がかりに焦点を当て、手がかりによって方向づけられること、正確さよりももっともらしさによって動かされること、である。

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もっともらしさと行動

特徴的なのは、センスメイキングが正確さよりももっともらしさに導かれるという主張である。Weick, Sutcliffe & Obstfeld (2005) によれば、センスメイキングは真実を言い当てることではなく、人々がたどり着けるのは「よりよい筋書き」であって「唯一の正しい筋書き」ではない。状況を正確に捉えていなくても、長期的な目標に近づいているように見える意味づけができれば、人は効果的に動ける。人々は、とりあえず筋の通る説明を手に行動し、行動の結果を見て説明を修正していく。

Weick がセンスメイキングの「レシピ」として繰り返し用いるのが、「言ったことを見るまで、自分が何を考えているか分かるだろうか」という問いである。Gioia (2006) は、理解が行動を導くという常識を逆転させ、行動が理解を導くことを示した点を、Weick が繰り返し追ってきた主要なテーマの一つとして挙げている。

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位置づけ

組織を、決まった構造としてではなく、人々が意味を作り出し続ける過程として捉える Weick の組織化の議論の延長線上にある本である。Weick, Sutcliffe & Obstfeld (2005) は、本書以後の議論を整理するなかで、センスメイキングを組織化の過程にさらに強く結びつけて述べ直している。Maitlis & Christianson (2014) によれば、本書はそれまでのセンスメイキング研究をまとめ、理論的な枠組みを示した画期的な本であり、その刊行以後、危機、組織変革、学習、創造性とイノベーションなど多様な文脈で実証研究が急増した。

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身近な例

たとえば、ある日突然、取引先からの発注が止まったとしよう。担当者は「景気のせいだ」「競合に乗り換えられた」「こちらのミスがあった」など、手がかりを拾いながら筋の通る説明を探す。どの説明を選ぶかで次の行動が変わり、その行動が取引先の反応を変え、状況そのものも変わっていく。

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代表的な展開研究

  • Weick, K. E. (1988). Enacted sensemaking in crisis situations. Journal of Management Studies. DOI ↗Gioia (2006) と Maitlis & Christianson (2014) によれば、ボパールの化学工場の事故を題材に、危機の場面で人々が行動することで出来事や構造を生み出し動かしていく過程(イナクトメント)を論じ、初期の行動が危機の行方を左右することを示した。
  • Weick, K. E. (1993). The collapse of sensemaking in organizations: The Mann Gulch disaster. Administrative Science Quarterly. DOI ↗マン渓谷の山火事の惨事を分析した論文。Maitlis & Christianson (2014) によれば、役割構造と集団が崩れるとパニックが起こり、それに続いてセンスメイキングが崩壊することを示した。
  • Weick, K. E., Sutcliffe, K. M., & Obstfeld, D. (2005). Organizing and the process of sensemaking. Organization Science. DOI ↗本書以後の議論を整理し、センスメイキングを組織化の過程としてあらためて位置づけた。
  • Gioia, D. A. (2006). On Weick: An appreciation. Organization Studies. DOI ↗Weick の仕事の特徴を、行動が理解を導くこと、信じることが見ることを左右すること、イナクトメントなどの観点から論じ、その批判点にも触れた論考。
  • Maitlis, S., & Christianson, M. (2014). Sensemaking in organizations: Taking stock and moving forward. Academy of Management Annals. DOI ↗センスメイキング研究を総覧し、定義の広がりや研究の流れを整理したレビュー。
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批判と境界条件

Gioia (2006) は、Weick に好意的な立場から、いくつかの批判点を挙げている(pp. 1718–1719)。第一に、他の人が意味づけの前提や文脈をつくろうとする働きかけ(センスギビング。Gioia & Chittipeddi 1991)を、Weick が軽く扱っているように見えること(p. 1718)。第二に、Gioia が博士課程の同僚の言葉として紹介するように、Weick の文章そのものが多義的で、読み手が自分の探しているものを見出してしまいやすいこと(p. 1719)である。

Weick, Sutcliffe & Obstfeld (2005) は、本書の議論の弱点を自ら挙げている。センスメイキングの議論は一部の人には権力や政治に無頓着に映り、意味は「投票」で生き残るとみなしがちであること(p. 418。本書 p. 6 を例に挙げる)。「センスメイキングは制度化の原料である」(本書 p. 36)のような言い方は主体性を誇張しているおそれがあり、制度論者なら因果の向きが逆だと言うだろうこと(p. 417)。そして、本書では組織の感情の理論が「示唆されながら無視された」という Magala (1997) の指摘である(p. 418)。Maitlis & Christianson (2014, pp. 58–59, 62–65) も、センスメイキングの定義が研究によって大きく異なることを整理している。

研究上の位置づけ

著者・刊行Karl E. Weick (1995)
SAGE Publications
分類書籍
地図の区画組織・意思決定
分析単位個人 · 組織
理論系譜認知 · プロセス
REFERENCES

出典

本ページは学習用の要約です。正確な引用や議論には原典を確認してください。