Deliberate and Emergent Strategy意図的戦略と創発的戦略
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一言で言うと実際に実現する戦略は、事前に計画された意図的戦略だけでなく、日々の行動の積み重ねから結果として形づくられる創発的戦略が混ざり合ったものだ、という視点。
Of strategies, deliberate and emergent
中核的な問い
教科書的な戦略論では、経営者がまず分析し、計画を立て、それを実行する。しかし実際の企業を見ると、計画どおりに進まないことや、計画にないのにうまくいった取り組みが多い。戦略はどのように形成されるのか。
主張とメカニズム
Mintzberg は、戦略を「行動の流れの中に見られるパターン」と定義し直した(Mintzberg, 1978)。こう定義すると、意図した戦略と実現した戦略を比べられる。意図のうち実現したものが意図的戦略、実現しなかったものが実現されなかった戦略である。そして、意図していなかったのに、行動の積み重ねからパターンとして生まれたものが創発的戦略である。
Mintzberg & Waters (1985) は、完全に意図的な戦略も、完全に創発的な戦略も現実にはまれだとした。実際の戦略は両者の間のどこかに位置する。創発的戦略は、現場での試行錯誤から組織が学ぶ道を開く。一方、意図的戦略は方向性と統制をもたらす。経営者の役割は、すべてを計画することではなく、現場から生まれるパターンに気づき、育てるべきものを見極めることにある。
身近な例
ある企業が大型製品で海外市場を攻める計画を立てたが、売れなかった。ところが、現地の社員が自分用に持ち込んだ小型製品に問い合わせが集まり、やがてそれが主力事業になった。計画ではなく、現場の動きから戦略が生まれた例といえる。
主要概念
- 意図的戦略(deliberate strategy)
- 事前に意図され、そのとおりに実現した戦略。
- 創発的戦略(emergent strategy)
- 明確な意図がないまま、行動の積み重ねからパターンとして生まれた戦略。
- 実現された戦略(realized strategy)
- 実際の行動の流れの中に見られる戦略のパターン。
- 実現されなかった戦略(unrealized strategy)
- 意図されたが、実行されずに終わった戦略。
代表的な展開研究
- Mintzberg, H. (1978). Patterns in strategy formation. Management Science. DOI ↗戦略を行動のパターンとして捉え、長期にわたる組織の戦略の変化を追跡する方法を示した。
- Burgelman, R. A. (1983). A process model of internal corporate venturing in the diversified major firm. Administrative Science Quarterly. DOI ↗大企業の新事業が、現場の自律的な活動から生まれ、後から全社の戦略に取り込まれる過程を描いた。
批判と境界条件
「行動の後で振り返ればパターンが見える」という発想は、事後的な説明にとどまり、どう行動すべきかの指針を与えにくいとの批判がある。とくに計画を重視する立場との間で論争が続いた。また、創発を強調しすぎると、経営者の責任や方向づけの役割が曖昧になる。
出典
- 原典Mintzberg, H., & Waters, J. A. (1985). Of strategies, deliberate and emergent. Strategic Management Journal. DOI ↗
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