給料が上がっても、やる気が続かないのはなぜ?
昇給やボーナスで一時的にやる気が出ても、しばらくすると元に戻ってしまう。お金で人がどこまで動くのかは、動機づけの研究で長く議論されてきたテーマです。見方は一つではありません。
この疑問を説明する 4 つの理論
自己決定理論Self-Determination Theory · Ryan & Deci 2000
人には、うまくやれているという感覚(有能さ)、自分で選んでいるという感覚(自律性)、人とつながっているという感覚(関係性)という三つの心理的欲求があり、それが満たされる環境で内側からの意欲が育つ、とする理論です。報酬や締め付けで人を動かそうとすると、自分で選んでいる感覚が損なわれ、内側からの意欲がかえって弱まることがあるとされます。ただし、報酬の悪影響は限られた条件でしか生じないという反論もあり、論争になりました。
自己決定理論の解説を読む ↗二要因理論(動機づけ-衛生理論)Two-Factor Theory · Herzberg et al. 1959
仕事への満足をもたらす要因と、不満をもたらす要因は別のものだとする理論です。給与は不満を防ぐ「衛生要因」に分類され、整えても積極的なやる気は生まないとされました。やる気を生むのは、達成、承認、責任といった仕事そのものに関わる「動機づけ要因」です。ただし、この区別は調査方法に左右された結果ではないかと批判されており、実証的な支持は十分ではありません。
二要因理論(動機づけ-衛生理論)の解説を読む ↗期待理論Expectancy Theory · Vroom 1964
人がある行動をとる力は、「その行動が望む結果につながる」という見込みと、その結果の魅力の掛け合わせで決まる、とする理論です。この見方では、給料が上がっても、それが自分の頑張りと結びついていると感じられなければ、次の努力にはつながりません。昇給の額そのものより、努力と報酬のつながりが本人にどう見えているかが問題になります。
期待理論の解説を読む ↗職務特性モデルJob Characteristics Model · Hackman & Oldham 1976
仕事に、いろいろな技能を使う、最初から最後まで見届けられる、他の人に影響を与える、進め方を自分で決められる、成果の手がかりが仕事から得られる、という五つの特性がそなわると、人は内側から動機づけられる、とする理論です。給与ではなく仕事の中身を見直す手がかりになります。この効果は、成長を強く求める人ほど大きいとされます。
職務特性モデルの解説を読む ↗ここに挙げた理論は、疑問を考えるための手がかりです。どの理論がよく当てはまるかは、組織や状況によって変わります。
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