優秀な人から辞めていくのはなぜ?
頼りにしていた人ほど、ある日突然辞めると言い出す。人が組織を去るのか、とどまるのかは、組織と個人の関係をめぐる研究で扱われてきました。辞める理由だけでなく、残る理由にも種類があります。
この疑問を説明する 4 つの理論
離脱・発言・忠誠Exit, Voice, and Loyalty · Hirschman 1970
組織の質が落ちたとき、人は去る「離脱」か、声を上げて変えようとする「発言」で反応する、とする理論です。質の低下に敏感な人ほど早く離脱してしまうと、組織は最も有益な発言を失う、と指摘されています。優秀な人が不満を口にする前に辞めていくのは、この二つの組み合わせがうまく働いていない状態として読めます。
離脱・発言・忠誠の解説を読む ↗組織コミットメント(3次元モデル)Organizational Commitment: Three-Component Model · Meyer & Allen 1991
人が組織にとどまる理由には、「そうしたいから」(情緒的)、「そうする必要があるから」(存続的)、「そうすべきだと感じるから」(規範的)の三つがある、とする理論です。辞めると損をするから残っているだけの人は、組織のために努力するとは限りません。この見方に立つと、他社でも通用する人ほど辞めるコストが小さいため、愛着や義務感がなければ、とどまる理由が残りにくいと考えられます。
組織コミットメント(3次元モデル)の解説を読む ↗心理的契約Psychological Contract · Rousseau 1989
働く人は、「こう貢献すれば、会社はこう報いてくれる」という約束があると信じて働いている、とする理論です。この約束は本人の主観であり、会社の側が同じように理解しているとは限りません。約束が破られたと感じると、単なる期待外れよりも強い怒りや裏切られたという感情が生まれ、信頼と貢献の意欲が損なわれます。
心理的契約の解説を読む ↗バウンダリーレス・キャリアBoundaryless Career · Arthur 1994
キャリアを、一つの会社の中で昇進していくものではなく、会社や職種の境界を越えて築かれていくものとして捉える視点です。社外のつながりや業界での評判を持ち、別の会社でも生かせる技能を持つ人ほど、次の機会を得やすくなります。辞めることを裏切りとしてではなく、人が組織を行き来しながら知識を運ぶ動きとして捉え直す見方でもあります。
バウンダリーレス・キャリアの解説を読む ↗ここに挙げた理論は、疑問を考えるための手がかりです。どの理論がよく当てはまるかは、組織や状況によって変わります。
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