理論・視点

外国企業の不利益(外国性の負債)Liability of Foreignness

一言で言うと

外国企業は、現地企業なら負わずにすむ追加の費用を負うため競争上不利になりやすく、多国籍企業はこの不利を本国から持ち込む組織能力などで乗り越える必要がある、とする理論。

説明したい問い外国の市場で事業を行う企業は、なぜ現地企業に比べて不利になるのか。そして、その不利をどう乗り越えるのか。
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中核的な問い

同じ市場で同じ事業をしていても、外国から来た企業には、現地企業にはない苦労がある。土地勘がない、現地の人脈がない、よそ者として見られる。こうした不利は、どこから生まれるのか。そして、外国企業はそれをどうすれば克服できるのか。

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主張とメカニズム

Zaheer (1995) は、外国企業の不利益(liability of foreignness)を「海外で事業を行う費用のうち、多国籍企業の子会社などの組織単位に競争上の不利をもたらすもの」と定義した。海外で事業を行うことに伴う費用という考え方は、多国籍企業研究の初期に Hymer が論じたものにさかのぼる。Zaheer はこれを、現地企業との比較で生じる不利として捉え直した。

Zaheer は、この費用の源泉として四つを挙げた。第一に、空間的な距離から生じる費用で、移動、輸送、時差をまたいだ調整などである。第二に、企業に固有の費用で、現地の環境になじみがないことから生じる。第三に、進出先の国の環境から生じる費用で、正当性(社会から認められていること)の不足や、自国の企業を優遇する経済ナショナリズムなどである。第四に、本国の環境から生じる費用で、本国政府による規制などである。

Zaheer は、この不利を乗り越える方法として、二つの道を比べた。一つは、本国で培った組織の能力を持ち込み、それを強みとして活かす道である。もう一つは、成功している現地企業のやり方をまねる道である。原典は、日米の銀行の外国為替取引部門を調べ、外国企業の部門が現地企業の部門より不利な立場にあることを確かめた。そのうえで、現地のやり方をまねるより、本国から持ち込んだ組織能力のほうが不利の克服に役立つという結果を示した。

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身近な例

たとえば、ある国の外食チェーンが、別の国に初めて店を出したとしよう。現地の不動産業者とのつながりがないので、よい立地を見つけるのに時間がかかる(なじみのなさ)。本社との打ち合わせは時差のせいで夜中になる(距離)。現地の客からは「外国の店」として様子見をされる(正当性の不足)。このとき、現地の人気店の真似をしても、その店に勝つのは難しい。むしろ、本国で磨いてきた調理の標準化や人材育成の仕組みを持ち込み、それを強みにするほうが、不利を埋めやすいと考えられる。

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主要概念

外国企業の不利益(liability of foreignness)
海外で事業を行う費用のうち、現地企業にはない、外国企業に競争上の不利をもたらすもの。
正当性(legitimacy)
ある組織やその行動が、社会の規範や価値観から見て適切だと認められている状態。
組織能力(organizational capabilities)
企業が本国で培ってきた、仕事の進め方や管理の仕組みなど、組織として物事をうまく行う力。
経済ナショナリズム(economic nationalism)
自国の企業を優遇し、外国企業を不利に扱おうとする政府や社会の姿勢。
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代表的な展開研究

  • Zaheer, S., & Mosakowski, E. (1997). The dynamics of the liability of foreignness: A global study of survival in financial services. Strategic Management Journal. DOI ↗世界各地の金融サービスの事業所の存続を調べ、外国企業の不利益が時間の経過とともにどう変わるかを検討した。
  • Johanson, J., & Vahlne, J.-E. (2009). The Uppsala internationalization process model revisited: From liability of foreignness to liability of outsidership. Journal of International Business Studies. DOI ↗国際化の障害の中心は、外国であることそのものより、現地の関係ネットワークの外にいること(部外者の不利益)にあると論じた。
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批判と境界条件

外国企業であることが常に不利になるとは限らない。Nachum (2003) は、ロンドンの金融サービス業で、外国企業の子会社がむしろ現地企業より高い成果を上げていることを示し、外国企業の不利益は、企業が持つ優位によって相殺されたり上回られたりしうると論じた。また、Johanson & Vahlne (2009) は、問題の核心は外国であることではなく、現地の企業間ネットワークの部外者であることだと主張し、この概念の焦点を問い直した。

研究上の位置づけ

原典Zaheer, S. (1995)
Overcoming the liability of foreignness
分類Concept / theory
分析単位組織
理論系譜制度論 · 経済学
REFERENCES

出典

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